
「姿勢が大事です」といわれても仕事中まで意識したら疲れてしまう。そもそも、正しい姿勢がよくわからないので猫背矯正を受けた方がいいのかな?
こちらは、癒しマッサージ鍼灸院をご利用いただいた方のお話です。
テレビやネットの情報だけでなく、病院や治療院を利用したときにも「正しい姿勢が大事」とよく耳にしますよね?
そこで、この記事では姿勢について、鍼灸あんまマッサージ師の視点で解説いたします。
- 猫背(姿勢)矯正で効果が出ない理由3つ
- 猫背矯正を受けるときの判断基準
- 正しい姿勢=理想の姿勢とはかぎらない
「猫背矯正を受けて正しい姿勢にしたい」と思う気持ちはわかりますが、生活習慣や体のお悩みにより「正しい姿勢」が変わるため注意が必要です。
目にとまりやすい情報に振り回されて、理解しないままお金を払ってしまう前に、記事の内容を参考にしてみてください。
猫背(姿勢)矯正で”正しい姿勢”が実現?:すぐに効果が出ない理由3つ

猫背矯正には、いろいろな効果があるといわれています。
- 肩こりや腰痛の予防
- 疲れにくい体になる
- 冷え性の改善
- ボディラインにメリハリがつく
- 明るく前向きになれる
しかし、施術を受けたからといって、すぐに効果が出て”正しい姿勢”になるのはむずかしいと考えております。
理由は、つぎの3つがあげられます。
- 猫背矯正で背骨は動かない
- 施術方法は統一されていない
- そもそも”医療用語”ではない
①猫背矯正で背骨は動かない

背骨はろっ骨などの骨・筋肉・靭帯・椎間板でしっかり固定されているため、人の力ではほとんど動かせません。
そのため、人の手で行う猫背矯正で「姿勢がすぐに良くなる」とは考えにくいでしょう。

もし人の力で背骨が1㎝ほど動くのであれば、レスリング選手や柔道選手の背骨はガタガタになってしまうため、試合どころではありません。
②猫背(姿勢)矯正の施術方法は統一されていない


猫背矯正や姿勢矯正と呼ばれる施術の内容については、つぎのものがあげられます。
- 背骨まわりの筋肉のストレッチやマッサージ
- 電気治療器を使ったトレーニング
- セルフケアを目的とした運動指導
- カイロプラクティックのような体をボキボキ鳴らす施術
施術方法が統一されていない骨盤矯正とおなじく、治療院や施術者によって大きく変わります。
また「矯正」といっても、人の手では骨を動かせないことから、実際は背骨まわりの筋肉のケアという表現が適切といえるでしょう。
猫背矯正で背骨は動かない


背骨まわりの筋肉のケア


③猫背矯正は”医療用語”ではない


「様々な効果がある」といわれている一方で、施術方法が統一されていないため「猫背矯正(姿勢矯正)」という言葉は、医療用語としては認められていません。
「正しい姿勢を作りましょう!」といっても伝わりにくいため「猫背矯正」という表現を使っているだけです。
骨盤矯正の記事でもお伝えしていますが「鼻セレブ」や「おーいお茶」のように、施術方法をイメージしやすい「○○矯正」という名称にしたことが考えられます。
猫背矯正だけで”正しい姿勢”はむずかしい
猫背矯正で背骨は動かない
肋骨や筋肉でしっかり固定されている
施術方法は統一されていない
治療院や施術者によって施術方法は変わる
”医療用語”ではない
矯正という言葉を使って伝わりやすくしている
これら3つの理由から「猫背矯正だけで正しい姿勢になるのはむずかしい」というのが、正直な意見です。



もし、猫背矯正で姿勢が矯正されたとしても、その姿勢を維持するだけの筋力、背骨や肋骨の柔軟性がなければ、すぐ元にもどってしまいます……
猫背矯正を受けるときの判断基準


猫背矯正を受けても意味はないってこと?
以下にあてはまる場合は、検討してみても良いと考えております。
- 猫背矯正を継続して受けるだけの費用と時間がある
- 施術内容と期待できる効果の説明に納得できる
- 人前に出る仕事(CAやアナウンサーなど)をしている
- 持病や痛みがない(骨粗鬆症やヘルニアなど)
ただし、矯正という言葉からイメージできるものとちがい、1~2回で結果が出る可能性はひくいため、継続して利用する前提で進めていきましょう。



とくに、持病がある人や、痛みがあるときは注意が必要です。
正しい姿勢=理想の姿勢とはかぎらない


猫背矯正を受けても、すぐに正しい姿勢になれないならどうしたらいいの?
正しい姿勢が維持できれば、体に良い影響が出るのは事実です。
一般的にいわれる正しい姿勢


しかし、いつも正しい姿勢=理想の姿勢とはかぎりません。
生活習慣や体のお悩みにあわせた姿勢が、正しい姿勢=理想の姿勢といえます。
悪い姿勢は理想の姿勢?3つの例
- 腰が痛いときは猫背でOK
- 正しい姿勢で神経痛が悪化
- 体を丸めてゴルフのスイングが安定
①腰が痛いときは猫背でOK
腰が痛いときに背筋を伸ばした姿勢(正しい姿勢)になると、腰に負担がかかるため悪化するおそれがあります。
腰が痛いときは正しい姿勢よりも
猫背がオススメ
体を丸める(猫背姿勢)


▼
お腹に力が入り腹筋が上半身を支えてくれる
→腰の負担がへらせる




体を曲げて(猫背姿勢)お腹に力が入りやすい状態を作ることで、腰への負担を減らす効果が期待できます。
②正しい姿勢で神経痛が悪化
腰部脊柱管狭窄症による神経痛にお悩みの方は、背筋を伸ばした姿勢(正しい姿勢)により神経痛が悪化するおそれがあります。
体を丸めた姿勢


▼
背筋を伸ばすと
神経の通り道(椎間孔)がせまくなる




③体を丸めてゴルフのスイングが安定
プロゴルファー矢野東(やのあずま)さんの解説によると、ゴルフのスイングの際には、キレイな姿勢よりも体を丸めた姿勢を推奨しています。



・体質
・体のお悩み(持病など)
・仕事を含めた生活習慣
などを考慮したうえで、正しい姿勢=理想の姿勢を見つけましょう。
癒しマッサージ鍼灸院で”姿勢”について相談された場合
癒しマッサージ鍼灸院をご利用の方より、姿勢について相談を受けた場合は、つぎの3つを中心にお伝えしております。
- 「正しい姿勢」だけでけで不調ゼロはむずかしい
- 姿勢を意識しすて肩こりや腰痛になる場合も
- 正しい姿勢よりも「おなじ姿勢」を避けるように
①「正しい姿勢」だけで不調ゼロはむずかしい


肩こりや腰痛のお悩みは、姿勢だけが原因とはかぎりません。
- 筋肉の炎症
- 骨の問題(骨粗しょう症など)
- 神経痛
- 精神的なストレス
など。



正しい姿勢・良い姿勢が実現できたとしても、体のお悩みから解放されない場合は、姿勢以外の原因もないか確認しておきましょう。
②姿勢を意識しすぎて肩こりや腰痛になる場合も


正しい姿勢を目指すために、
- 意識しすぎてストレスが増える
- 体にあわない(ムリな)トレーニング
などが原因となり、肩こりや腰・膝を痛めてしまうこともめずらしくありません。
また、施術者から、
「姿勢が悪いですね」
と指摘されたことで「姿勢が悪い」と思い込んでしまい、自分で不調を作ってしまう醜形恐怖症に悩まされる方もいます。
③正しい姿勢よりも「おなじ姿勢」を避けるように


おなじ姿勢を続けていれば、おなじ場所に負担がかかるため、肩こりや腰痛になりやすいのは事実です。
また、筋肉の血流が低下するため、手足の冷えに悩まされることも。
1日5時間以上、パソコンの前に座っている人は、1時間に1回を目安に
- 歩く
- 横になる
- 姿勢を変えて作業を続ける
ようにしましょう。
仕事中に休憩できない場合は?(反論)
仕事中はろくに休憩もとれないので、いつもおなじ姿勢ばかりになってしまう……
このようなお悩みがある場合は、以下の情報をもとに休憩時間を確保できるよう提案してみてはいかがでしょうか?
休憩の取り方で、生産性とウェルビーイングは劇的に向上する
一日のうちに休憩を取ることがウェルビーイングを向上させ、より多くの仕事をこなせるようになることを確認した。長時間労働についての一般的な見方に反し、筆者らの研究は、勤務時間内に休憩を取ることは、パフォーマンスを低下させないどころか、高めることを示唆している。
引用:Harvard Business Review
まとめ:猫背矯正だけで”正しい姿勢”はむずかしい
猫背矯正で背骨は動かない
肋骨や筋肉でしっかり固定されている
施術方法は統一されていない
治療院や施術者によって施術方法は変わる
”医療用語”ではない
矯正という言葉を使って伝わりやすくしている
これら3つの理由から「猫背矯正だけで正しい姿勢になるのはむずかしい」というのが、正直な意見です。
かならずしも「正しい姿勢=理想の姿勢」とはかぎりません。
自分の
- 体質
- 体のお悩み(持病など)
- 仕事を含めた生活習慣
などを考慮したうえで、正しい姿勢=理想の姿勢を見つけましょう。
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