妊娠中のつらい症状といえば
- 腰痛
- 不眠
- つわり
などがあげられます。
「すこしでもラクになりたい」と思ってもお腹が大きいため、うつ伏せになってマッサージは受けられません。そこでかわりに「鍼やお灸を受けてみようかな…」と考える方もいることでしょう。
とはいえ、
「大きなおなかをかかえながら妊娠中に鍼やお灸はどうなの?」
「もし大変なことになったらどうしよう……」
といった疑問や不安をお持ちかと思われます。
自分ひとりの体だけではないため、心配になるのは当然です。しかし、妊娠中の方が鍼やお灸を受けても、安定期(約5か月)にはいっていれば基本的には問題ありません。
このページでは、
- 妊娠中に当院で施術を受けるときの注意点
- 実際に鍼灸院が利用されるケース or 当院をご利用いただいた方のケース
を紹介させていただきます。
妊娠中に当院で施術を受けるときの注意点
- 服装について
- 強めの刺激はNG
- あくまでも対症療法
服装について
腕や膝〜足首に鍼やお灸をするため、袖やすそがまくれる服装がおすすめです。
もしスカートなどで来院された場合は、着替えを用意しておりますのでご安心ください。
強めの刺激はNG
妊娠中は体に変化があらわれやすいため、負担の大きくなる刺激の強い施術は行っておりません。
- 出産に対する不安やストレス
- 女性ホルモンの量の変化
- お腹が大きくなっているため腰や背中への負担が大きい
ここからは、時系列に沿って妊娠時に起きやすい体の変化をみていきます。
妊娠初期~4ヶ月
眠気、体のダルさ
女性ホルモンの1つ『プロゲステロン(※)』が増えると体温が上がるだけでなく、眠気や体のダルさを感じやすくなります。
※妊娠の状態を維持するためのホルモン
妊娠5ヶ月~7ヶ月
動悸(どうき)、息切れ
妊娠中は心臓の動きがいつもより活発(※)になるため、動悸や息切れが起きることがあります。
※おなかの赤ちゃんに栄養をおくるため、血液の流れをよくしておく必要がある。
立ちくらみ
鉄分の不足により、立ちくらみが起きやすくなります。
※へその緒を通じて、おなかの赤ちゃんに多くの栄養(酸素、血液=鉄分)をおくるため
妊娠8カ月以降
腰痛
おなかの重みで腰が反ってしまう=腰への負担が大きくなるため、腰痛が出やすくなります。
肩こり、こむら返り
運動不足で体全体の血液の流れが低下するため、肩こりやこむら返りが出やすくなります。
頻尿、便秘
大きくなった子宮が膀胱や腸を圧迫するため、頻尿になったり便秘になったりすることがあります。
その他、出産や育児に対する不安から気分が落ち込んだり、イライラする場合もあります。
あくまでも対症療法
妊娠から出産までの過程で体は大きく変化します。そのため、体の不調は避けることができず、不調と上手く付き合う必要があります。
- 腰痛
- 肩こり
- むくみ
- 頻尿
- 手足の冷え
- 逆子
当院にかぎらず、他の鍼灸院でもおなじ傾向があるようです。
当院では『症状を完全に治す』ではなく『症状をやわらげ、少しでも楽な状態で出産まで過ごせるように』という考えで施術をさせていただいてます。
当院をご利用いただいた方のケース:20代女性妊娠34週【逆子と手足の冷え】
- 逆子
- 手足の冷え
- 頻尿(夜中に5回)
- 不眠
- 腰痛
お問い合わせがあった時に、「あくまで対症療法として利用してほしい」とお伝えしたうえで料金や施術ペースを説明させていただきました。
当院では妊娠中の施術にかぎらず、通院ペースは2週間に1回 or 1ヶ月に1回の方が多くなっております。
今回のケースでは、45分のコースを1週間に1回のペースでご利用いただきました。
1回目:お灸でおなかの赤ちゃんが動く?
足の冷え、頻尿をやわらげる足のツボに鍼、逆子によいとされる足のツボにお灸を実施。出産に対する不安もあったようなので、自律神経の働きを整える腕のツボにもお灸を行いました。
足にお灸をしている時、赤ちゃんが動いたのを感じられたそうです。
使用したツボ
2回目:手足の冷えはすこしやわらぐ
前回と同様、足のツボに鍼と灸、腕のツボに灸を実施。腰痛を感じることもあるため、あわせて腰とお腹にも灸を行ないました。
腰へのお灸は横向きで寝転んだ状態で行います。
夜中目が覚めるのが1回か2回になり、以前よりもよく眠れるようになったと報告を受けました。
気温が上がり過ごしやすくなった影響もあるためか、手足の冷えもずいぶん落ち着いたようです。
使用したツボ
後日の検診で産婦人科の先生に「赤ちゃんの向きが変わったので逆子がもどるかもしれない」と言われたそうです。
3回目:逆子がもどり自然分娩に
手足の冷えはやわらぎ、夜中に目が覚めるのも1回ですんでいるようです。施術中はおだやかな表情で、ご自身の仕事や趣味の話をされていました。
施術をした数日後「検診を受けた結果、逆子がもどっていたので、自然分娩になりました。」と報告を受けました。
使用したツボ
現在は、出産を控えているため施術を中断しております。出産が終わり、体調が落ちついたらまたご利用いただけるとのことです。
まとめ
- 服装は袖やすそをあげやすいもので
- 妊娠中は体調の変化がでやすい強めの刺激はNG
- 鍼や灸はあくまでも対症療法
今回、掲載した妊婦さんのケースでは施術により良い効果がでましたが、効果には個人差があります。
大事な妊娠中の体のためにも、ご自身の体調に合わせた方法をお選びください。